2020年05月29日

だってアムールのお国だもの

ミアウ〜ドリー組曲より
【Youtube 100本ノックNo.76
ミアウ サムネイル写真100-76.jpg
フォーレのドリー組曲の第2曲目。
ドリー組曲は連弾曲の中でも比較的有名で
演奏される機会の多い作品だと思います。

作曲者のガブリエル・フォーレが
妻マリーを通じて親しくなった銀行家の娘、
エンマ・バルダックの娘で
1892年に生まれたエレーヌのために書きました。
タイトルの「ドリー」というのはエレーヌの愛称。

と、ここまでの平和で牧歌的な流れは良いのですが、
その実、かなりメロドラマチックな背景が
隠されている曲でもあるんですよね。

このエンマ・バルダック(旧姓エンマ・モイーズ)さん。
17歳にしてお父さんと同じ銀行家だった
バルダック氏と結婚した声楽家で、
ラウルという男の子を授かったんですが、
奥さんのマリーを通じて知り合ったはずの
フォーレ氏とまさかの不倫関係に陥ります。

そのため、エレーヌ、
つまり本日の主役(?)ドリーちゃんね、
はフォーレとの不義の子ではないか、
説が濃厚だとか。

え、それ、完全にダメなやつじゃん。。。

そんでもって、結局フォーレとは別れた後に、
今度は、やはり奥さんがいた
クロード・ドビュッシー氏と同棲を始めてしまいます。

このドビュッシーもまたドロドロな感じの方でして。

ちょうど、フォーレ×エンマ不倫カップルによって
ドリー組曲が誕生していた1894年ごろに、
テレーズ・ロジェという女性と婚約します。

ところがこの時、ドビュッシーにはもう3〜4年も
苦楽を共にしてきた別の恋人がいたんですよ。
ガブリエル・デュポン、愛称ギャビー。

しかし、このギャビーちゃん、
独立心旺盛でエネルギッシュ、
いわゆるお上品で楚々としたタイプ
・・・ではなかったもよう。

ドビュッシーの友人だった銀行家の息子で
法律の勉強をした後作曲家になった、という
真面目タイプのショーソン氏は、
ドビュッシーをお上品な社交界に紹介すべく
ギャビーと別れることを要求、
そして声楽家だったテレーズ・ロジェを紹介し、
彼女との婚約を勧めます。

ところが一旦は了承したドビュッシーですが、
どうしてもギャビーちゃんと
別れられなかったんですね。
結局テレーズ譲との婚約は破談になります。

当時の書簡をのぞき見・・・もとい、
垣間見ますと、どうやらショーソンは実は紹介した
テレーズに惚れていたっぽい節があるんですよ。

惚れた女を足蹴にされて、面目はつぶされる、
挙句に銀行家の家系で豊かだったため
生活苦にあえぐドビュッシーから
お金の無心までされたショーソンが
ついにブチ切れ、
ショーソンとドビュッシーは終生の仲たがい
することになってしまいました。

そ〜んな紆余曲折を経て、その5年後1899年に
ドビュッシーはようやくリリー・テクシエという
これまた別の女性と結婚します。

もてるんだねぇ。。

しかしその僅か6年後、1905年に出会ってしまった
ドビュッシーとエンマ・バルダックが同棲を始め、
双方の結婚を解消、二人は結婚します。

・・・え〜とずいぶんと長〜い外野の説明でした。

再度申し上げますが、本日の主役は、
そんなアムールの国を体現したエンマ・バルダック
の娘、エレーヌ、愛称ドリーちゃん、です。

良いんです、どんな背景があろうとも、
子供に罪はありません。(そこ?)
曲にも罪はありません!

そんなわけで、ドリー組曲より第2番ミアウです。






posted by Duo A&K at 19:00| Comment(0) | Youtube100本ノック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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