2008年07月09日

ドン・ホセの理想像について

ドン・ホセ。

ママご推奨の、青いスカートをはいた、お下げの少女を
恋人にしている、マザコン男。
悪女カルメンに誘惑されたらあっさり恋人を捨て、軍隊をも脱走して、
盗賊団入りしてしまう、破廉恥男。
なのにママが死病にかかっていると聞くや、盗賊団をも
脱退してしまう、根性無し男。
最後にはカルメンを刺し殺しちゃう、元祖ストーカー男。

(そもそも軍隊に入ったのだって、球打ち(卓球か?)に入れあげた
 挙句、勝負に負けたお坊さんにイチャモンつけられて、田舎に
 いられなくなって、いた仕方なく、だったらしい)

どれをとっても「そんな彼なら捨てちゃえば?」と言いたくなる、
ダメんず筆頭。がく〜(落胆した顔)

にもかかわらず、その歌ゆえに観客をつい魅了してしまう、
不思議くん。

得な役なのか、損な役なのか。
微妙なところだけど、歴代テノールが好んで歌ってきたことは確か。

私が(映像も含めて)観たことのあるドン・ホセは、というと、

プラシド・ドミンゴホセ・カレーラスホセ・クーラ
ニール・シコフ、そしてヨナス・カウフマン
それぞれに素晴らしい歌手です。

ドミンゴの演技力で切々と訴えられたら「ノー」と言える女なんて
いないに違いない、と思うし、
カレーラスがカルメンに騙されたら、騙される方が悪い、と思いつつ、つい感動してしまうし、
クーラはきっと嫌な奴だ、絶対嫌いな性格だ、と思いつつ、
その憎らしいほどの美声に惚れ惚れしてしまうし、
シコフは人は良さそうだけど、ちょっと爺さん過ぎる・・・
と思いつつ、その老いらくの恋(?)をつい応援したくなるし。

でも。

ドン・ホセ理想像はやっぱり、カウフマン、でしょう。揺れるハート

ワタクシ、本日、二度目の「カルメン」を観てきました。目

窓口で並ぶこと執念の2時間半

開演5分前になってパルケット席(一番高い、平土間席)をゲット!手(チョキ)
女の一念、岩をも砕く!(なんのこっちゃ?)パンチ

「花の歌」の鳥肌は相変わらず・・・。

とにかく素晴らしい!!の一言でした!!!ぴかぴか(新しい)

ワーグナーを歌うヘルデン(英雄)・テノール(ご本人はそう呼ばれたくないらしいけど)ばりの輝かしい金属質の声にプラスして、
モーツァルトまで軽々とこなす完ぺきな技術、
繊細な言葉のニュアンスを表現しきる豊かな言語能力、
緻密な構成と堅実な知性に支えられた舞台俳優も真っ青な演技力。

これら全てが「花の歌」に集約されているのです。

最近ロンドンのROHから、パッパーノ指揮、アントナッチ主演、
ドン・ホセがカウフマンという「カルメン」のDVDが
発売されましたね。チューリッヒで私が観たのとは全然違う、
ドン・ホセ像が出来上がっているようです。
もちろん、生で観て、空気の振動を通して感動するのが一番いいに
決まってますが、映像でも彼の魅力は十分伝わってきます。

みなさんも一度ご覧になってはいかがでしょうか?
るんるん
posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ビゼー・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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