信じられなかったのは、歌手にしても同じです。
ピンカートン役のテノール、ニール・シコフ先生。
有名人ですよ、結構。
でも私にはとても信じられませんでした。
もうお歳だからでしょうかね、高音を歌う時、
これからジャンプしようとするスケート選手のように
身体を固め、肩をいからせた「気をつけ!!」の姿勢を
とられるのは、いかがなものかと思います。
おかげで、ガツ〜ンと鼓膜にぶつかってくるような声が
とても耳障りでした。
このピンカートンという役は、かなり嫌な奴ですよね。
この男にとっては、
遊びで「結婚ごっこ」をするために娼婦を買っただけ、
のはずだったけど、
蝶々さんは真剣に結婚したつもりで・・・
そしてその誤解によって生まれる悲劇。。。
という全ての元凶になる男ですから。
だけど、ピンカートンがただの嫌な奴、だったら
「こんな男のために死ぬことないじゃん。
ていうか誤解した蝶々さんの方が悪いよねえ。」
という、白けた思いにとらわれてしまって、
最後に蝶々さんが自殺をするとき、
泣けないと思うんですよ、私は。
ピンカートンが蝶々さんに対して、
「本当に申し訳なかった!!」
と反省するから、蝶々さんの真剣さが浮き彫りになって
悲劇が悲劇に見えてくるんです。
違います?
それなのにですよ。
このジイサンのピンカートンは感情表現の幅が
足りなさ過ぎて、単なるイカレタ浮かれオヤジ、
でしかなかったんです。
肝心の、蝶々夫人との思い出を
「愛の家よ、さようなら・・・」
と歌う、切ないハズの場面が、
こんなに粗雑に歌われるなんてっ
チューリッヒ歌劇場でシコフは「カルメン」の
ドン・ホセも歌ってるんですが
どうやって??としか思いません。
ドン・ホセだって情けないことこの上ない男ですから、
こんな風に薄っぺらな役作りをされたら、
目も当てられないのではないでしょうか。。
それにしてもニール・シコフって悪いイメージ無かったんだけどなあ。。
彼がまだ黒髪豊かなりし頃「椿姫」のDVDで
アルフレード役を歌っていましたが
(ヴィオレッタはグルヴェローヴァ)その時は
「ちょっと、さだまさし氏に似ているけど、いい感じ」
と思ったし、10年ほど前に日本で観たドン・カルロは
(ちなみにこの時小泉純一郎首相(当時)ご臨席でした)
「ちょっと背丈が足りないけど、いい声だな〜」
と思った記憶があったような気がしたんですが、
完全なる「気のせい」だったのかも知れません。
(悪口はまだまだ続く)
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