
脇を固めた大ベテランたちからも目が離せなかった

まずはドクター・バルトロを歌った、カルロス・ショーソン。
チューリッヒで以前もこのドクター・バルトロを歌っていたこの大ベテランは
今回の「セヴィリアの理髪師」でも



超美人で大金持ちのロジーナの後見人という立場を利用して、
そのロジーナとなんとかして結婚しようとガッツク、破廉恥爺さん、
でも最後は結局ロジーナを奪われて、泣きを見るマヌケオヤジ、
という役どころ、
下手に歌ったら、ただの嫌なヤツにしかならないのでしょうが、
この方が歌うと、これが全然嫌みも、アクドサも無く、
むしろサワヤカに(??)笑えるアホキャラに変身するのです

フィガロにどれだけからかわれても、

ロジーナにどれだけ出し抜かれても、

アルマヴィーヴァ伯爵にどれだけコケにされても、

ドタバタ喜劇全開の2幕の最後に、フィガロのトランクから
またしても無意味に登場したキリンの首に睨まれても、

全然懲りないアホっぷり。



全身の動きから、顔面の細かい筋肉の動きから、
自分でふき出すこともなく、よくもこれだけ動かせるものだ・・・

と妙なところで感心してしまうほど、
とにかく1秒の隙もなく笑いをとっておられました

(というか共演者もよく真面目に歌ってられるよなあ・・・。

そしてお次は音楽教師バジリオ役のルッジェーロ・ライモンディ。
言わずとれた、大御所バリトンですよね。
コミカル・・・を通り越して、むしろ凄みさえ感じさせる、面白さ。

(なんじゃ、そりゃ?

いや、この方はほんとにスゴイ役者歌手ですね。

バジリオって本来、それほど目立つ役じゃないハズだから、
配役を見たとき、
「バジリオなんて出番の少ない役にライモンディはもったいないなあ・・・

と思ったんですが、そんなことありませんでした。

まだ何にもしてないのに、
ただ黙って歩いて登場しただけなのに、
何となく客席からクスクス笑いを誘う、

それだけ舞台上の空気を一瞬で変えちゃうんですよね。
それって、やっぱり凄い

いや、こんなに存在感のあるバジリオは初めて観ました。

それにしても、この二人のおっさん達。
こういう笑える演技ってどうやって勉強したんでしょうか?
練習したのかな〜?
万が一鏡に向かって表情の研究をしていた・・・とかだったら・・・


と思うと私は笑いが止まりません。

街中で一人で歩いている時は、
この二人の練習風景を考えないようにしないといけないかも、ですね。

(続く)
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フィガロのスーツケースから出て来るキリンが気になっていましたが、キリンじゃないと面白くない....ということですね。
ご挨拶が遅れましたが、長年ルッジェーロ・ライモンディのファンをしておりまして、ネットで追っかけています。ファンとしては、いつまでも元気で舞台に立って欲しいという思いと、そろそろ潮時かな...という複雑な思いですが、
>いや、この方はほんとにスゴイ役者歌手ですね
と、言っていただくと嬉しいです。
今シーズンは、初っぱなから、リハーサル中にアキレス腱断裂という事故にみまわれましたが、無事復帰できてほっとしています。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2009-09-04
実は、もう一人、ネットで追っかけしている歌手がいまして、これもまたチューリヒで大切にしていただいているんですが.....
2008年6月から専用のブログも作っています。
http://colleghi.blog.so-net.ne.jp/
そう、揺れ揺れ....のグリゴーロです。揺れ揺れと感じたのは、多分、messa di voceというか、同じ音を膨らませて小さくする...というのが、けっこう好きで...といっても勝手にやっているわけではなくて、楽譜の指示通りみたいなんですけど、そういうテクニックをちゃんと使って歌っているということではないかと思います。グリゴーロの歌唱が好きな人は、これが魅力的...と感じるわけです。
3月には、《ホフマン物語》で、モシュクが4役挑戦ですし、きっと話題の公演になると思います。レポート楽しみにしていますので今後ともよろしくお願いします。