

ピアノ伴奏

ただの伴奏者だったら、気にも留めなかったかもしれませんが
この日のプログラムには、歌の名前に挟まって
合計4回も「ピアノ・ソロ」という文字が
あったんですよね。
何が始まるんだろう?と密かにドキドキ

普通、ピアノをソロで弾く場合、暗譜演奏が基本です。
ところがこの方は、思いっきり楽譜を見て

自分で譜めくり

おまけに結構、ボカスカとミスタッチ


確かにピアノがソロ(1人)で弾いているんだけど、
これは、一体、何なんだ??

結局1曲目はなんだか分からないうちに終わってしまいました。


にこやかに、紳士らしく、お辞儀をするバッラリン氏。
それに応える聴衆の・・・
なんともまばらな拍手・・・。

おそらく、頭に大きな?が飛んでいたのは、
私だけではないと思われます。

そして次のピアノ・ソロ。
なんだかね。聴いたことがある

メロディーは絶対聴いたことある。
けど、何の曲だか分からない。。。
どうしよう、それって、ピアノ弾きとして
マズイんじゃなかろうか・・・・
と密かに焦る

しかし・・・
やたらとアルペジオが多くて、
どうも普通のピアノ・ソロ曲ではなさそう。
何かのトランスクリプション(編曲)か?
と思った矢先、謎が解けました。
分かった




そう、彼は聴いたこと

「オペラ」のメロディーを弾いていたのです。
なんだ〜。

ヌッチがその前後に歌うアリアに合わせて、
オペラ名場面の「



弾いていてくれたのでした。
歌い手が一息つく


という趣旨だったのでしょう。
なんとも心憎い演出

ヌッチの暖かい人柄

エンターテイナーとしての聴衆に対する姿勢

なんだか、すっかり嬉しくなってしまいました。

それにしても、このバッラリン氏。
よく歌う

歌うように弾く、のじゃなくて、本当に歌ってるんです。
それも歌詞付きで。


最後のピアノ・ソロは、その後にヌッチが歌う

「プロヴァンスの海と陸」に合わせて
椿姫スペシャルメドレーでした。
よ〜〜く知っているメロディーが、
次から次から出てくる、出てくる・・・。

日本に帰国

日々の生活に追われて忘れてたけど、
考えてみたら私が歌劇場通いを始めてから、
こんなに長い間オペラを観なかった


(本来はこれ↑が普通の生活だっ

なんだか嬉しくて



涙目になりそうになったところで、
タイミング良く、音楽も盛り上がって

椿姫の第2幕、パパ・ジェルモンに説得されて
アルフレードとの別れを決意したヴィオレッタ。
でも、面と向かって別れを言いだせず、
「私を愛してね、アルフレード、
私があなたを愛しているのと同じぐらい!」
(日本語で直訳するとちょっと恥ずかしい・・・

とだけ訴え、立ち去る場面。
椿姫は何万回も(オーバー・・・

メロディーも歌詞もほとんど全部歌えるぐらい知ってるくせに、
この場面を観る度に、私は、つい、泣いてしまう

まさにドンピシャリのタイミングで、この音楽。
やめて〜



と一瞬思ったのですが、
この日だけは私、笑ってしまいました。

なぜならば。
バッラリン氏の歌がはっきり聴こえてしまった


アーーマーミ、アルフレー(ヒ〜ッ



って、そんな変な所(ヒ〜ッ


そこ、フレーズが長いから、息が足りなくなるのも分かるけど。
アルフレードって名前なんだから一息で歌ってよ。

・・・と、思ったんですが、考えてみたらですよ。
いくらピアニストの真正面とは言え、
私は三階席にいたんです。
そんなとこまで、「ピアニストの」歌詞も息継ぎも聞こえるって・・・
一体どんな大声で歌っているんですかっ



挙句に第4幕の「パリを離れて」。
帰ってきたアルフレードと病床のヴィオレッタの二重唱も
一人二役で歌い弾き(弾き語り、ではもはやなかった・・・

をするのですから、忙しい


会場にいた他のお客さん達も、おそらく私と
同じようなタイミングで真相(?!)に気付いたのでしょう。
最初まばらだった拍手も、段々大きくなり、
最後の椿姫メドレーの後は、ブラボ〜っ

いや、なんとも楽しかった




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いやはやヌッチのリサイタルにそんな
エピソードが隠れていましたか、バッラリン氏
楽しい性格、或いはサービス精神旺盛とも言うのでしょうか、
やっぱり素敵な演奏会でしたね。
お祝いにポチ応援していきます。♪
オペラのコレペティ(伴奏)専門の方だと思います。
コレペティは合わせの時に、その場にいない歌手の分を歌ってあげるのも仕事のうちなので、つい、舞台の上でも歌っちゃった・・・みたいな感じだったんだと思います。笑
でも、ほんとに、楽しかったですよ〜♪