今年の譜めくり作業

去年のシピリ氏やカニーノ氏の様な事件性

いささか欠けておりました。
今年、連続してめくる事になったピアニスト

岡田博美氏だったのですが、この方、
アナタハ、コンピューターノ、ゴシンセキ、デスカ?
とお尋ねしたくなるほど、いつ何時何を弾かせても、


いえね、技術的に完璧な日本人

他にもたくさんいるんでしょうけど、
この方の特殊性は、その、表情、にあると思われるのです。
とにかく、全然、動かない

冷たい


悪いイメージの印象じゃ全然なくて、どちらかというと、
無関心


譜めくりのタイミングが、
早過ぎようが


間違って2枚捲っちゃおうが

うわわわっ、ごめんなさい


とアタフタ

眉ひとつ、まつ毛1本、髪の毛一筋、動かさない

演奏を続けられるのです、それもノ一ミスで。
私「すみません、先ほどは間違えてしまって失礼しました

岡田氏「あ、いや、大丈夫ですよ。」
もしかしたら、ほとんど暗譜

怒っているでもなく、
冷たく無視しているでもなく、
単に、飄々と、気にしてない、だけ。

私が何かをやらかしちゃっても、岡田さんならきっと大丈夫

という譜めくり的緊張感の無さ


感じられたものです。(コラ


が。
さすが岡田さん、というべきか、さすが草津、というべきか。
段々と彼の完璧さが、面白さ


つまり、完璧すぎて面白い


なにしろ、岡田さんの表情が全然動かないものですから、
他の外人教授達としては、自分の意図が
岡田さんにちゃんと伝わっているのかが
全然分からない


ところが、とりあえず、弾いてみるか〜、
と、リハーサルを始めてみたらば、
投げかけられた音楽



音楽的な化学反応


しかも、完璧


顔筋と演奏のギャップ

文字どおりに仰天している

見ている第3者にとって、面白くてしかたがないわけで。。。

証言@
元ベルリンフィルの首席チェロ奏者、
ヴォルフガング・ベッチャー氏
「彼と顔を会わす度に「元気?」と聞くんだけど、
反応が薄過ぎて、僕には彼が元気かどうかが、
全然分からないんだ

だけど、ピアノを弾かせたら、彼は
信じられないほど、完璧


僕らの息の合い方は、まるで30年来のデュオのようだったよ

証言A
イル・ソリスト・ディ・ペルージャの首席ヴァイオリニスト、
パオロ・フランチェスキーニ氏
「バランスもテンポもタイミングもテクニックも、
彼は、何もかも、パーフェクト


だけど、すごく変なヤツ(面白い、という意味らしい)
なんだよな。
僕が何を言っても「Yes,yes

それじゃ、逆に何か言いたい事は無いのか、
と聞いたら、これまた「No,no

としか言わないんだもんなぁ。」
目撃証言B
某ブログ筆者
共演者の元ウィーン・フィル主席フルート奏者、
ヴォルフガング・シュルツ氏とのリハーサル中、
あまりにも問題無く、完璧、且つ、スムーズに
全ての曲が終了してしまったため、
(一旦停止さえ無かった

一瞬の間の後、シュルツさんは岡田さんに問いかけました。
シュルツ氏「any questions?」
岡田氏「・・・・・・・・・。」
いやっ、あのっ、ほらっ、ねっ?
なにも問題が無いなら無いで、
noぐらい言いましょうよっ

見ている私がオタオタ


何度も言うようですが、多分、このときも
無視しようとしたのではなく、単純に、
問題、ない

と思われただけだと思います。
この、まるで天然撥水加工

なんとも不思議な空気感

彼の前で、ベッチャー氏やフランチェスキーニ氏が
どれだけ自由奔放


(物理的、じゃなくて、音楽的に、という意味ですよ、念のため

揺らぐ事は全然ありませんでした。
揺らがない。迷いが無い。
岡田さんの演奏自体もそのものズバリ、で、
これしか有り得ない、という音色を、
ここしか有り得ない、というタイミングで、
こうとしか考えられない、というバランスで、
指に吸盤でも付いているのか?
と思いたくなる確実性でもって、弾く。
きっと物凄く芯の強い方なのだろう・・・
と思いました。
お人柄がお人柄ですので、お話しする機会が極端に少なく、
内面は推して知るべし・・・でしたが。

もっとも、テンションの高い

いささか岡田さんの反応に困ったようで・・・。
典型的イタリア気質


おそらく、彼にとっては極自然な行動だったのでしょうが、
ヴァイオリンからピアノにメロディーを受け渡した時、
ピアニスト、つまり岡田さんにに対して、
ニコッと笑顔

ところが岡田さんは楽譜

能面のような無表情&無反応だったわけです。
笑顔が空中分解しかけたフランチェスキーニ氏は
仕方なくそのまま私に視線を流し

こちらに向って、二カッと笑顔を見せていました。
よほど笑顔の始末に困ったんでしょうね。


そんな岡田さんですが、
ちょっと意外なものを持っていらっしゃいました。
楽譜を見る時だけかけられるメガネ

ちょっと大きめなせいか、私は密かに、
のび太に似てる〜
と思っていたのですが、
なんと岡田さんの手提げかばんにさりげなく、
ドラえもんのキーホルダーが下がっているのを発見

ほらっ、やっぱり


もしかして岡田さんも、
9月3日にどら焼きを召し上がっていらしたり・・・
するんでしょうか?


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