未亡人という立場上、次の恋に踏み込めないでいる
伯爵夫人オットニーを、ホフマンスタールが
「町人貴族」をもじったお話を語り聞かせて口説く
という設定なんですよね。
つまり、「お話」町人貴族の中の劇中劇として語られる
アリアドネの話(恋人に捨てられて悲しんでいたけど、
やがてバッカスと新しい恋に落ちる(スゴイ要約))
にオットニーが自分の立場に重ね合わせて共感し、
オペラが終わるころには、ホフマンスタールとの
新しい恋に一歩踏み出す気になる・・・
という趣向(?)でして。
文字にすると、いささか以上にややこしいですが。
舞台後方の階段状の客席から、アリアドネを観劇するのは
ジュールダンと替え玉ドラント伯爵&替え玉公爵夫人ドリメーヌ。
本物のホフマンスタールとオットニーは舞台上で
歌手達と入り組んで歩き回ったり、見守ったりしています。
さて。
幕が開くと、寂れた島・・・の代わりの、
足が折れたり蓋が取れたり枠が無かったりしている
何台ものグランドピアノ達の隙間で
もぞもぞと動く、小山のごとき人物(失礼)がいます。
そう、噂のアリアドネです。
この小山嬢をお見かけした時、ある意味ホッとしたものです。
オペラというと、喜んで「拝聴」したいけど
あんまりアップで「拝見」するのはご遠慮申し上げたい
と思う確率が結構高いじゃないですか。
第1部の美男美女俳優陣と比したとき、
小山と思われた、主演アリアドネのエミリー・マギー。
そのたくましき二重あご、放っておいたら喰われてしまいそうな、
縦長長方形にでっかく開かれた口、とか、
(遠くからのビジュアル的には、嘆きが極みに達していると
受け取れなくもない)
網タイツ姿も大胆なエレーナ・モシュクの
きっとロングブーツ履く時ジッパーを上まであげるの大変でしょうね?
と思われるおみ足に
ずり落ちてこないようにかなりギュウギュウに締め上げたであろう
ベアショルダードレスの上に、ムニャと溜まってしまった背中の肉、とか、
(遠くからのビジュアル的には、肉感的でセクシーと
言えなくもない)
マリ・クロード・シャピュイの、優雅なオーガンジーの肩掛けの下で、
身動きする度に、膨らんだフグのごとくたっぷたぷに揺れる二の腕、とか。。
(遠くからのビジュアル的には、オーガンジーが豪華になっているように
見えなくもない)
そんなものを見ると、ああ、知ってる知ってる、と・・・。
オペラ歌手ってぇのは、やっぱり、
アップになると、この手の「ム?」感が残るけど、
観客が聴きいるふりをして好意的に見ないふりをしているすきに、
その「ム?」感を、音楽の力でもって吹っ飛ばす、
てぇのが本物なんですよ。うん。(???)
そして、本当に、吹っ飛ばしてくれたんですね〜。
(続く)
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