【サタデーナイトデュオ No.16】
本日はガブリエル・フォーレというフランスの作曲家の
「シシリエンヌ」をお聴き頂きます。
シシリエンヌというのはフランス語で、
シチリアーノというイタリア語でも呼ばれたりしますが、
「シチリア風の」「シチリア舞曲」を意味する言葉が語源の
古い時代の舞曲で、ゆったりとした拍子の音楽を指します。
もっとも、曲を聞くと、なんとなく、
船に乗ってゆ〜らゆら揺れているようなゆったりした
リズムパターンのせいか、
私はこのシシリエンヌと言う曲は、
てっきり舟歌だと思ってました。
イタリア=
十羽一絡げに、ゴンドラにのってゆ〜らゆら・・・
みたいなイメージ、ありませんか・・・?
(私だけかな(笑))
考えてみたらゴンドラはイタリア北東部の運河の街、
ヴェネチアの名物(?)だし、
シチリア島はイタリアの南にある島だし、
きっとこの私の誤解はイタリア人からしたら、
「たこ焼きとお好み焼きは東北地方名物だと思っていた」
ぐらいにトンチンカンなものに違いない・・・笑
前置きが長い!
本日のシシリエンヌは、もともとフォーレが
オペラ「町人貴族」のために作曲していたもので、
チェロとピアノのデュオ曲として
単独で出版されていました。
数年後、モーリス・メーテルリンクの戯曲
「ぺリアスとメリザンド」の劇付随音楽を
作曲したフォーレは
それをさらに管弦楽用の組曲に編曲します。
この編曲版「ぺリアスとメリザンド組曲」の
初演が好評だったため、フォーレはこれに更に
シシリエンヌの管弦楽編曲版を追加して、
管弦楽組曲「ぺリアスとメリザンド」作品80として
出版しました。
なんちゅう、ややっこしい・・・・
転用しまくりなんですねぇ。
ややこしいついでに申しますと、
メーテルリンクの戯曲を基に、
クロード・ドビュッシーも
「ぺリアスとメリザンド」というオペラを
作曲しています。
ドビュッシー唯一のオペラですね。
というか、もともとメーテルリンクは
劇付随音楽の作曲をドビュッシーに
依頼したらしいのですが、
戯曲という制約のない、
オリジナルのオペラ作曲にこだわったドビュッシーが
これを断ったため、
フォーレにお鉢が回ってきたのだとか。
そんでもって、出来上がったフォーレの音楽を
聴いたドビュッシーはこれを酷評したのだそう。
一方、ドビュッシー作曲の「ぺリアスとメリザンド」は
今度は戯曲の原作者メーテルリンクが
原作を改ざんし過ぎだと噛みついて裁判を起こしました。
なんだかな。笑
フォーレとドビュッシーってこのお2人。
後にドビュッシー夫人となるエンマ・バルダックとも
両方恋をしているし、
何かとこう・・揉め事系で絡みますねぇ。。
後世の人間が他人事として見ている分には
下世話なワイドショーみたいで
ちょっと面白いんですが。(悪趣味。笑)
何やら複雑でややこしい経緯のもとに
誕生したこの曲は、しかし、
実に爽やかで美しく、思わず惹きつけられてしまう、
そんな魅力を持った名曲です。
どうぞお楽しみくださいませ♪