【サタデーナイトデュオ No.37】
本日はフェリックス・メンデルスゾーンの
「春の歌」をお聴き頂きます。
メンデルスゾーンってね、私の中ではしみじみと
幸せな人、というイメージなんですよ。
おじいさんは哲学者、お父さんは銀行家、
お姉さんも弟に負けない天才音楽家。
お母さんに音楽の手ほどきを受けたご自分も
才能にあふれる神童として10代から大活躍。
音楽への造詣が深い両親、親戚に恵まれ、
幼少期から経済的にも何不自由ない生活を送り、
美人の奥さんを貰って5人の子供にも囲まれ・・・
もちろん、そんな幸せ一辺倒の人だったわけはなく、
その38年の生涯には色々あったでしょう。
でも彼の音楽を聴くと、その底辺にいつも
得も言われぬ「幸せな響き」が
流れているような気がするんです。
たとえその曲が短調の暗い色調であったとしても。
今日お聴き頂く「春の歌」なんて、
そんな幸せな響きの典型ではないでしょうか。
春の歌はメンデルスゾーンの
ライフワーク的存在であったピアノ曲集
「無言歌集」のうちの1曲です。
無言歌、すなわち、歌詞の無い歌。
歌詞は無いけど、曲、というより歌だよね、
と思ったのかどうか、無言歌の名付け親は
姉のファニーだそうですが。
ヨーロッパの寒く厳しい鉛色の冬を抜けて、
待ち望んだ春が、ようやく訪れた喜び。
その、言葉にしきれない嬉しさは
きっとどこの国にいても同じなのでしょうね。
あまり季節感が無く、
年中同じ野菜たちが並ぶドイツ(語圏)のスーパーが、
春だけはアスパラガス一色になって、
アスパラ専用鍋にアスパラ専用トング、
アスパラ専用皿にアスパラ専用ソース、
レストランのメニューも絶対アスパラガス!
になっちゃうような、独特の高揚感。
(どんな高揚感よ・・・)
私たちが満開の桜を見て、
毎年見ているのにやっぱり今年も、
何とも言えない幸せを感じるように。
(桜とアスパラガスが同じなのか・・・?)
春の幸せな気分が皆様にも伝わりますように。