2009年12月06日

急ブレーキ踏むのは君で・・・歌手の品格

ずっと横揺れー(長音記号1)している気分だった、ヴェルディの「海賊」。

横揺れは指揮者のせいだけではありませんでした。猫

まず主人公海賊のボス、コルラード役の
ヴィットーリオ・グリゴーロ君。

とってもとっても、いい声です。ぴかぴか(新しい)
声量があって且つ太すぎず、理想的なテノールの声、
といっていいと思います。
乱暴ではなく情熱的で、若々しく、ほんとに熱演してました。

(もっとも「若い」というより、「青臭い」という印象で
 その歌い方、何歳まで通用するのかな〜と(現在32歳)
 余計なことを思ってしまいましたが・・・わーい(嬉しい顔)) 

じゃあ、何が問題かって言うと、
歌い方、なんですよね。猫

歌い始めをぶつけない、のはいいんだけど、
急発進する車のように、いきなり強くした後、
またいきなり弱くしたりするから、
聴いていると、るんるんるんるん
と響く(文字で書くの、難しいな・・・ふらふら)んです。

フレーズが滑らかに聴こえなくて、本当に
アクセルブレーキ交互に、しかもに踏まれているような
感じがするわけです。

ちなみにオペラハウスから帰るトラム(路面電車)の中で
隣の席に座った男性二人会話が聞こえてしまったのですが、
この二人もオペラを聴いていたらしく、

「今日のテノール、るんるん〜ん〜んるんるんって歌うの、
だったよな。」

と私と同じ感想を言っていたので、思わず隣席で
噴き出してしまいました。。わーい(嬉しい顔)


おまけに歌うとき身体をくねらせ過ぎるんです。
ドン・カルロみたいな情けない役とかならいいけど、
あなた、その歌い方、海賊のくせに、
ちょっと女々しですよ・・・。バッド(下向き矢印)

そして、彼の恋人(奥さんも?よく分からないたらーっ(汗)
メドーラ役だったのはエレーナ・モシュク
私は彼女、大好きぴかぴか(新しい)なんですけど、彼女もよく、表現として
急ブレーキ急アクセル系の歌い方をするんですよね。

もともと声が細いし、
彼女がそういう歌い方をするのは大半がppの時、とか
女性の揺れ動く気持ちー(長音記号1)を表現するとき、とか
に限られているので、それほど気にならないのですが、
この方の相手役には、

ガシッ、ドシッ、手(グー)

とした、いかにも男性的、な野太い歌い方をする方を
持ってきてほしいと思います。

グリゴーロ君のような揺れ揺れ系と一緒に歌うと、
二人の歌い方は妙にシンクロしてるんだけど、
聴いてる方が酔っぱらった気分ビールになります。猫

今回の演出は、をイメージしたのでしょうか、
舞台全面に水が張ってあって、
歌手たちは水面を流れるベットに乗って登場したり、
ビショヌレになりながら水中を歩いたり、と、
斬新、かつとてもシンプル美しい舞台でした。ひらめき

ただ、舞台背後の全面に斜めにが張ってあるので、
舞台上の水の揺れが鏡に映って拡大し、
ずっと揺れてー(長音記号1)見えるのです。

歌手たちはそれぞれ大熱演しているのですが、
先日の記事にも書きましたが、

オーケストラの支えが不安定で、
舞台にも水が張ってあって揺れて見える、
しかも歌手の乗っているベットがグルグル回り続けたりする、
さらに主役の歌い方が揺れ揺れ、

どこもかしこもミラーボールのように揺れっぱなしモバQで、
乗り物酔いになった気がして
ちょっと気持ち悪くなってしまいました・・・爆弾

(続く)


にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ


意志の弱い人向けダイエット
≪結婚・恋人≫真剣に考えるならピュアアイへ! *18歳未満利用不可

posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

運転手は君で・・・指揮者の品格

いよいよチケットを入手し、ヴェルディの「海賊」の幕が開きました。

客席が暗転し、オーケストラが音合わせを済ませ、
観客が今か今かと指揮者を待ち構えている・・・ひらめき

のに、ちっとも出てこない、指揮者。パンチ
通常オケの音合わせ後、すぐに出てくるはずが、
ゆうに3分時計は経過してました。

お客さんもなんとな〜く、ざわざわ。ー(長音記号1)

「ここで私がパンパン(拍手という意味)し始めたら、
お客さん達も絶対、つられてパンパンするだろうな〜晴れ

しょうもないことたらーっ(汗)を思いついたのですが、
さすがに実行はしませんでしたわーい(嬉しい顔)

ようやく出てきたのはチョロンとした若い兄ちゃん。
ノルウェー出身の指揮者Eivind Gullberg Jensen
(読み方が分かりません)氏。
今年からハーノーファーの放送交響楽団の首席指揮者に
決まっていえるそうです。

しかし。

始まった序奏。。

もちろんこのオペラを私は全然知らないのですが、
この指揮者、あんまり上手くない・・・失恋
と思うんですけど・・・。たらーっ(汗)

だって弦楽器のユニゾン(同名の音を複数楽器などで同時に
演奏すること)が
ズレズレ
だし
(私の記憶によると、上手い指揮者のときはズレない)、
全ての弦楽器がユニゾンしているにもかかわらず、
響きが薄っぺらいバッド(下向き矢印)

おまけに歌手に引きずられているんです、音楽が。爆弾

普通歌手がどんなに自由に歌っても、
指揮者は音楽の中枢を握って歌手を引っ張っていく、
つまり歌手が「お客さん
指揮者が「運転手」にならなければなりません。

でないと収拾がつかなくなるんですが、
この指揮者は歌手に合わ過ぎるので、音楽が揺れ過ぎるんです。
完全なる、酔っ払い運転車(セダン)

音楽が前に進んでいかないのでイライラ(ハラハラ?爆弾
してしまいました。

ちなみにクラリネットの独奏の時も、音楽の主導権を
クラリネットの人に渡してしまったかのようで、
支えている、というより、ついて行っている、という印象で、
やっぱり微妙でした。。ふらふら

それにテンポ設定が変に感じた所が何度もありました。
例えば、第3幕のトルコの太守セイドのアリアのとき。

ヴェルデイのアリアって
前半ゆったりめの音楽で、後半、感情が激して来て
テンポも速く盛り上がってくる・・・
というのが典型的パターンだと思うんです。

それなのに結構長いアリアで、明らかに音型が変わっているのに
前半は速め、後半は遅め、だから結局ずっとほとんど同じテンポパンチ
というのはやっぱりだと思います。
ファン・ポンスも歌いにくそうで、ズレまくってました。iモード

同じく第3幕のコルラードとグルナーラの二重唱のときも、
音楽も話の展開も盛り上がって緊迫してきたときに、
いきなりやたらと悠長なテンポになったりしたので
緊張感が、ポワ〜ン晴れと間抜けに緩和された印象を受けました。

もちろん、そういう解釈だ、と言われればそれまでだけど、
あんまり説得力は無かったな〜。。猫

演出と歌手にもそれぞれに原因はあったのですが、
なんとなく「ずっと横揺れ」している車に乗っているみたいで、
ちょっと、お尻が落ち着きませんでした。ダッシュ(走り出すさま)

(続く)


人気ブログランキングへ

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

≪結婚・恋人≫真剣に考えるならピュアアイへ! *18歳未満利用不可


posted by Duo A&K at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月29日

海男の品格と観る人の品格

観てまいりました、ヴェルディ海賊手(グー)

先週の日曜日、22日にプレミエ(新演出)として登場したこのオペラ、
実はチューリッヒ歌劇場で上演されるのは初めてだそうです。

プレミエの時はいつも初日の批評が新聞に掲載されるのですが、
今回は新聞評でどうやら絶賛ぴかぴか(新しい)されたらしく、
チケットが飛ぶように売れてしまい、
実は昨日もインターネット上では完売だったのです・・・。

学生券は予約無し、当日にしか買えないから
・・・やばい、っていうか買えないかも・・・。がく〜(落胆した顔)

時間ギリギリにしか家を出発できず、焦った私は、
走って、走って、走って・・・ダッシュ(走り出すさま)ダッシュ(走り出すさま)
どうにか1時間半前に到着、整理券を引く機械の前に陣取りました。
(もっともオペラハウスまでトラム(路面電車)で20分ほどですがわーい(嬉しい顔)

実のところ先客が4~5人いたのですが、
日本人青年2人と外人の女の子が一人づつ、だったんですよね。
そして順番争いなんか起こしそうもなく、礼儀正しく、
整理券機の「周辺」に立っているんです。

ダメですよ、そんなんじゃ。パンチ

遠慮がちに整理券機の周辺に立っている若者達を前に
おばちゃん根性を丸出しにした私は、
シッカリ前を陣取った・・・・

つもりがさすがガイコク。
もっと強そうで怖そうなおばちゃんにさらに前を取られてしまいました。

むむむっちっ(怒った顔)

以前の学生券売り場は早い者勝ちで、
窓口に行列する形式だったのですが
入り口が狭く、学生の行列が窓口業務にジャマたらーっ(汗)だったのか
今年から整理券制度が導入されました。
が、この初の試み、ややこしいことこの上ない。ふらふら

整理券機には「一般当日券」用と「学生券」用の
二つのボタンがあります。
そしてどちらも当日券の発売開始時間、
つまり開演の1時間半前から整理券を引ける・・・
張り紙されているのですが。

問題その1。
「一般券」と「学生券」の整理券を引けるようになる時間が違う。

一般券は、だいたい1時間40分ぐらい前から
引ける「ことがある」。
対して学生券は1時間28分ぐらい前から引ける。
という時間差攻撃exclamation&question)に出るので、
事態が読めないまま行列している後ろの方の人々が
混乱するのです。ふらふら

「え?もう引けるの」「何で行列が前に進まないの?」
「まだだよ」
「だって、もう引いてる人がいるじゃん」
「だからあれは、一般客だってば」爆弾

問題その2。
貼り紙を見ている人が少ない(ほとんどいない)。

学生は並ぶことに慣れているから、1時間半前に行列ができていると
事情を察したり、見ず知らずの人でもお互いに
聞いたり説明しあったりするんですが、
問題は事態を理解できそうもない、一般客です。

イチゲンさん、や高齢の方、に多いのですが、
機械が壊れているのかと思って何度もボタンを押したり、
見かねて周りの人が説明すると、「なるほど〜」と納得してるくせに
万が一の可能性を探るかのように
何度も押してみたりする・・・
だから「まだですむかっ(怒り)」ってのっパンチ

問題その3.
行儀が悪い。

正確には行儀じゃないんですけどね。
つまり「行列しない」んです。
この国は電車に乗るときも整列乗車とかいう概念が無く、
適当に乗るんですが、
チケットは早い者でいい席を取るものですから、
こういうときに
適当に割り込まれる、と早い時間から来て
前を陣取っている人は
イタタマレナイ気持ちになるのです。ふらふら

気づいているのか、気付かないふりをしているのか、
こちらが黙っていると、行列する人々を完全無視して、
平然と先頭に躍り出るのです。むかっ(怒り)

昨日、私の前に立ったおばちゃんにも、私は

「あの、みなさん大分前から来て、こうして並んでいるのですが」

と言ってやろうかと思ったんですが、
なにせ自分も、私より先に来て(いたような気がする・・・
覚えてないけどたらーっ(汗)
整理券から少し離れて立っていた若いお嬢さんたちより
前に並んでしまっているので強いことが言えず、
一人ぐらいなら・・・と思って我慢したのでした。もうやだ〜(悲しい顔)

こういう時、お隣の国、ドイツ人が行列に一人でもいると助かります。
さすが規則のお国だけあって声を掛け合って、
行列の整備exclamation&questionをしてくれるものです。わーい(嬉しい顔)

そんなこんなでワタクシ、昨日は3番目に整理券を
引くことに成功したのですが
窓口に行ってみたら、やはり大変危なかったことが判明しましたexclamation
チケットがもう6〜7枚しか残っていなかったのです。爆弾
しかも下から2番目のランクの席ばっかり。

もちろん開演ぎりぎりまで窓口付近でウロウロしていたら、
運が良ければキャンセルしに来たお客さんから
もっといい席を買えたり、
下手するとタダでもらえたりすることも、たまにあるのですが、
今回の公演にそこまでの情熱を持っていなかった私は、有難く、
残っていた席を入手したのでした手(チョキ)

それにしてもあの後ろの方の遠慮がちなお嬢さんたち、
チケット、買えたんだろうか・・・?(ひとごと・・・・たらーっ(汗)

(続く)


人気ブログランキングへ
にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月26日

腐れた鯛の品格

今年のチューリッヒ歌劇場は、どうもマイナー(マニアック?)オペラに
焦点を当てるのがモードのようです。晴れ

今シーズン再び登場のマイナーオペラは
ヴェルディ作曲、「海賊」。
原作はかの有名なイギリスの詩人、バイロン

有名な、といっても私は「チャイルドハロルドの巡礼
ぐらいしか知りませんが。わーい(嬉しい顔)

余談ですが、バイロンはスイスにも住んでいたことがあるようですね。
当時イギリスでの結婚生活の破綻爆弾
さらに異母姉との近親相姦の噂exclamationの蔓延に
耐えられなくなってジュネーヴに移り住んでいたようです。たらーっ(汗)

で、そのバイロンの書いた詩「海賊」を、
ヴェルディと特に親交の厚かったピアーヴェ
オペラの台本に書きなおしました。
ピアーヴェは他にも「椿姫」や「リゴレット」、「運命の力」等、
9作の台本をヴェルディに提供しています。

このオペラはヴェルディが作曲をしかけて、
途中でやる気を無くしてバッド(下向き矢印)放置眠い(睡眠)
その後、出版社との契約を果たすためだけに、
仕方なく作曲した、
と言われている作品でたらーっ(汗)、上演機会は他の有名な作品に比べて、
すこぶる付きで、少ないようですね。
上演時間も約1時間半と、大変短い。。
ヴェルディ先生、本当〜にやる気、なかったんでしょうね。失恋

しかし、ワタクシ御愛用の「オペラ・オペレッタ名曲選」に言わせると、

「腐っても鯛(?)
美しい旋律の音楽も」出てくる・・・
手(チョキ)

とか。
「腐っても鯛」とはまた、随分な酷評、で。。ひらめき
(私に言われたくないかも・・・?)

腐れた鯛なんて、いくら品格があったって
全然食べてみたくありませんが、
(やっぱりお魚は新鮮なのでないとっレストラン
それがオペラになると、たちまち興味津津になる私。黒ハート

今回は歌手陣が安定した歌唱を誇っている人々なので、
安心して見られそうです、前回の蝶々夫人と違ってっっパンチ

主役、海賊の首領コルラードヴィットーリオ・グリゴーロ
彼は最近売出し中(?大きなお世話かも)の若手テノールで、
チューリッヒ歌劇場でも露出が多くなってきました。
今シーズン、他には「ラ・ボエーム」のロドルフォ、
「ホフマン物語」のホフマン役に出演するようです。

コルラードの恋人、メドーラ役にはエレーナ・モシュク
先日のドン・ジョバンニの時にドンナ・アンナ役を歌っていました。
チューリッヒ歌劇場に出演機会の大変多い方なので、
今まで観た女性歌手の中で私が最も多く、聞いたことのある方です。

繊細な表現力と透明な声の持ち主で、ワタクシかなりのお気に入りぴかぴか(新しい)
特に彼女は死ぬ間際の表現が絶品グッド(上向き矢印)なので、
今回のメドーラ役も大いに期待したいところです。

そして海賊の適になる、トルコの太守セイド役に、
これまた私のお気に入りブッチャー、ファン・ポンス黒ハート
今回はちょっとマジメぶった役猫として御出演のようですね。

ここまで役者が揃ったら、聴きに行かない手はないでしょう。
28日の土曜日に学生券購入を試みる予定ですが、
残席が残りわずかなので、そもそも買えるかどうか、
かなり心配・・・。

そりゃ、「腐れてない」鯛は誰だって、賞味したいんですよね・・・。

とにかく、蝶々夫人の口なおし(?)になることを、
大いに期待しておりまするんるん



にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ


posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月10日

スイス人の身内好き

スイス生まれてスイスで育ったスイス人で
世界的な活躍をする人大変少ないせいでしょうか、

スイス人はとにかく身びいきが凄いんです。

ただしこの場合、「身内」とはスイス人に限りません。
スイスで生まれる、か、スイスで育つ、か、スイスで勉強した、か、
スイスに住んでいる、というのが身内の条件。


典型的な例が日のサルバトーレ・リチートラですね
彼はイタリア人です。
しかしスイスで生まれて現在もスイス在住んですね。
となると、もう大変。
彼の活躍も知名度も「スイスの誇りexclamation
と思いこんじゃうみたいなんです。
彼の出番には「サクラか?」と疑わしい軍団による、
意味のない拍手喝采の連続。

いや、いいんですよ、本当に良かった時に「ブラボー」を
叫ぶのは。
ただし通常「ブラボー」は「アリア」が素晴らしかった時に
言うもんです。
ところがスイス人サクラたちは、彼がいったん口を開き、
そしていったん閉じると、もう拍手。たらーっ(汗)
音楽なんて、芝居なんて全く関係なしっパンチ爆弾
なんです。

あれ、拍手とかぶってしまったオーケストラとか合唱とか
ほかの出演者にももちろんのこと、
純粋に観に来ている他の観客にも失礼だし、
第一かえってリチートラ自身にも失礼じゃないでしょうかね?

彼だってプロなんですから、今日の自分が良かったか
悪かったかは自分でよく分かってるわけで、
彼の芸術に敬意を払う、わけじゃなく、
良かろうが悪かろうが何でもいいから

とりあえずブラボーexclamation」っていうのは

私は大変に失礼だと思いました。

それから指揮者のネッロ・サンティ
彼もそもそもイタリア人です。
ただし彼はかつて40年の長きにわたって、
チューリッヒ歌劇場の音楽監督を務めていました。
いまだに「本物のファン」がたくさんいるのは確かです。
彼は実際大変に素晴らしい指揮者で、「トスカニーニの再来」とも
言われているらしいです。
私も、いつ聴いても彼の音楽は本当に素晴らしいと思うんです。

しかし。
彼に対してもまた、ファンというか、
いかにも「友人関係者」といった人々というか、
どっちかっていうと

私達、『あの』サンティの
知り合いなんですの


ということを宣伝したいだけ、という雰囲気を醸し出す人々が
これまた無意味に大騒ぎ。

これにはどうも、同調しずらい。
せっかくの興奮とか感動とかが漂白されてしまうような気がして
ちょっと残念です。

無意味な大騒ぎよりはお客さんが「良い」と思った時に拍手、
「悪い」と思った時にブーイングをする、スカラ座の反応の方が
いいんじゃないかな〜と思ってしまいます。

ただし、昨日私の横にいたおばさんには、ちょっと違うことを
申し上げたい。
彼女もサンティのファン軍団の一人らしかったのですが、
私がハンプソンに感動し、カーテンコールのときに彼の写真を
撮っていたら

今、もうすぐ指揮者が出てくるじゃないのっ」って・・・。

大きなお世話です。むかっ(怒り)

おまけにブラボーが言いたかったら、御自分で独自に
おっしゃって下さい。
誰かのブラボーに同調すべく、一足遅れて
ボーexclamation×2exclamation」だけ言われると
隣席の私は笑いをこらえるのが大変なんです
わーい(嬉しい顔)

いやはや、世の中いろんな方がいらっしゃるもんです。

posted by Duo A&K at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月08日

設定からして”変”である

昨日のエルナーニ
お話があまりにも意味不明だったんです。

原作はヴィクトル・ユーゴー。「レ・ミゼラブル」の作者です。
ときたら、音楽劇としてだけでなく、芝居としても
重厚な内容を期待したくなるものです。

しかし。

そもそも、最初の設定からして、

元々は貴族だったけれども、現在は盗賊にまで落ちぶれた男と、
大公殿下と婚約するような身分のお嬢様が、
どうやって出会って恋人同士になっているんだろう

さらにスペイン国王がそのお嬢様に横恋慕するのは結構だけど、
だったら権力を利用して結婚を迫るとかすればいいものを、
わざわざ大公の城に身分を隠して忍び込み(どうやって?)、
かのお嬢様を口説くのは、ナゼなんだろう


その国王は結局、権力に物を言わせてお嬢様を連れ去る。
権力者なんだから、この時代なら当たり前なんじゃないのかな。
と思いきや、お嬢様の隠れた恋人だった主人公の盗賊だけでなく、
大公殿下までもが、盗賊と手を組んで国王に復讐を誓う。
あなたの御身分で、いささか軽々しくありませんか

そしてその場で大公殿下に角笛を渡し、
「この笛の音が聞こえたら、私は命を捨てる」
というよく分からない誓いを立てる主人公の盗賊クン。
なんのために

そして国王暗殺をたくらむ人々が忍び込み、且つかの国王が
神聖ローマ帝国の皇帝に選出された、と宣言される場所は
何故か王家の墓の中。
そんなことってあり得るのか

そしてその場に居合わせるお嬢様。
あなたの立場っていったい

今まで何とかしてお嬢様を手に入れようとしていた国王も
そのお嬢様が2分ほどその場で懇願しただけで、
盗賊の男とお嬢様との結婚を、あっさり許可してしまう。
え、さっきまでと何でそこまで態度が変わるの

婚約者を奪われ、名誉を傷つけられた大公殿下。
無理ないです、気の毒に。
だからって晴れて結ばれた恋人達の結婚式に、
ダースベイダーのごとき黒装束で乗りこみ、
話の展開が変わる前に受け取った角笛を吹き、
主人公の命を要求するのはやり過ぎというものじゃありませんか

しかもその角笛を吹かれたら、なんの抵抗もせず、
自らお嬢様の眼前で自害して果てる主人公。
せめてお嬢様をどこか別の場所に連れて行かせるとか
配慮してあげたらどうなんです


そして嘆くお嬢様に瀕死の状態のまま、
自分の後追い自殺はしないで欲しい、って、
それはあんまり酷じゃありませんか

最後に大公殿下の喜びのポーズで迎える終幕。
あなただってお嬢様を愛していたんでしょうが。
可哀そうじゃないですか

・・・もっと高尚な見方が出来るのかもしれないけど、
ドイツ語の字幕をチラ見しながら私に理解できたのは
こんな内容でした。

なんかやっぱり意味不明・・・。
猫
posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月07日

どんぐりコロコロとハンプソン万歳!

どんぐりコロコロどんぐりこ〜るんるん

この人を見るといつもこの歌が頭に浮かんじゃうんですよね。
ヴェルディ作曲「エルナーニ」、
タイトルロールのイタリア人テノール、
サルバトーレ・リチートラ氏です。

背、低いですよね〜。
足、短いですよね〜。

おまけに体型がスマートとはとても言えない、んですよ。
太っている、とかブヨブヨ、っていうんじゃなくて、
コロンコロン野球」なんです、印象が。

そして本日御相手役ソプラノはイタリアのディーバ、
ダニエラ・デッシー
彼女は特に太っているわけではありません。
が、今日のように大時代的な衣装だと、
胸元のカットと言い、スカートのシルエットと言い、
袖のふくらみ(赤毛のアンが昔あこがれてたヤツです)と言い、
全体の印象がやっぱり「コロンコロン」。

二人並ぶとどうしても
どんぐりコロコロ・・・〜るんるん
に見えちゃうんです。

さて。「お池」ならぬ「ドツボ」にハマる役どころのどんぐり氏。

いい声です。ほんとに。これぞイタリア〜って感じ。
誰が言ったんだか知らないけど、ポスト三大テノール筆頭
と言われて久しいとか。
ただし私の感想は「ど〜こ〜がっっexclamation&question」でした。

だって音程が悪い。
ポルタメント(ある音から別の音に移る時に滑らかに、徐々に
音程を変えながら移行する演奏法)をよく使うんだけど、音程が
ズレちゃったのか、ポルタメントだったのかが分からなかった。

芝居がわざとらしいし。
やたらと手を振り回して歩きまわってるんだけど
怒っているのか、愛情を訴えているのかもよく分からない。
あの不自然な動き、絶対不必要だと思うんだけど。

デッシーもあまり冴えてなくて、最初「帰っちゃおうかなー」と
思っていたんですが。

先日予測した「開幕切り札」。嘘じゃありませんでした。
トーマス・ハンプソンexclamation×2ぴかぴか(新しい)

あらすじをよく知らなかったので、私はどこでハンプソンが
登場するのか分かっていなかったのですが、
誰か分からないけど、一歩舞台に出てきただけで、
会場全体の雰囲気を引き締めた歌手。
誰かと思いきや、かのハンプソン氏でした。
そして一声発しただけで、圧倒的な存在感と
格の違いを見せつけてくれたのです。

声だけでいくらでも、いろんな表情を演出できるんです、彼は。
字幕なんぞを見なくても、彼が今、
口説いてるのか、怒っているのか、慈悲心を出したのか、
憎んでいるのか、何かを企んでいるのか、
すぐに分かりました
凄すぎですexclamation
(リチートラのとき、字幕を見ないまま「怒ってるのかな〜?」
 と思ってたら、字幕に「愛している〜」と書いてあって、
 正直かなり、びっくりわーい(嬉しい顔)

これぞただの一流とは違う、””一流、なんですね。
チンチクリンでマンガにしか見えない某テノール氏なんぞ
と違って、立ち姿も大変大変大変麗しい・・・黒ハート
昔の国王の、さらに劇中でなる神聖ローマ皇帝の格好が
なんともサマになっていました

本日、ハンプソンを聞けただけで心から大満足でした
exclamation×2
posted by Duo A&K at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月02日

はじまりは再演から

チューリッヒ歌劇場の今シーズン、
私にとっての開幕第1演目は
ヴェルディ作曲「エルナーニ」です。

指揮者はネロ・サンティ
その昔、ここチューリッヒ歌劇場の首席指揮者を務め、
現在はスイス、バーゼル市の放送交響楽団の指揮者を
している(と思う)おじいちゃんです。
彼はいまだにチューリッヒで絶大な人気を誇っており、
開演前から、出てきただけで「ブラボー」の大嵐、
終演時にはたいていのお客さんによる、お約束の
スタンディング・オベーションが起こります。
彼は何がって、音楽の盛り上げ方が、大変素晴らしい。

演出はアサガーロフ。ドイツに育ったロシア人です。
彼は今年、上記エルナーニの他に「エフゲニー・オネーギン」、
ドン・パスクアーレ」の再演、
そして「蝶々夫人」のプレミエ(新演出)を担当します。
彼の演出は幸いあまり奇抜でなく、割合クラシックで綺麗めです、
今のところ私が観た限りは。

主人公エルナーニサルバトーレ・リチートラ
お相手のエルヴィラ役にダニエラ・デッシー
イタリアを代表する歌手二人に加え、
国王ドン・カルロ役にトーマス・ハンプソンが登場します。
再演とは言え、いきなり大物の御登場。
T・ハンプソンは確か去年も開幕演目に出ていたような・・・。
もしかしたら彼は、チューリッヒの「開幕切り札
なのかもしれません。

9月の4日から13日まで、4日間の公演です。
わくわく黒ハート
posted by Duo A&K at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月02日

マリア・グレギーナ、ぱんつ目撃事件!

テーブル上のカバーを勢いよく引っ張りすぎて、
上に乗った花瓶がそのままの状態で残ってしまった、とか、
歌詞を忘れて黙ったまま花だけ差し出した、とか、
何かと武勇伝の多いマリア・グレギーナ姉さん.
本日のナブッコはアビガイッレ役でも
そのパワーを存分に発揮してくれました。

赤紫色のオーガンディーに身を包んだマリア・グレギーナ。
他を圧するその存在感は、彼女が恋するイズマエーレをも圧倒して・・・・

ていうかこのテノールはなんなんだexclamation&question

目を疑うほどのチンチクリンで、どう頑張っても
モテモテ王子様黒ハート」に見えない。。。たらーっ(汗)

一般に喉の奥にある声帯は、長いほど声が低くなり、
短いほど声が高くなる、と言われています。
従って高音のテノールの背が比較的低いのは
宿命なのかもしれません。

が。

この人はいくらなんでも絵的に無理があり過ぎる・・・。
あせあせ(飛び散る汗)

アビガイッレが彼に迫って、切ない恋心を打ち明けるシーンも、
これじゃあ、まるで大木とセミたらーっ(汗)


再演の場合「ああ、他に人がいなかったのね・・・」という配役は
ままあることですが、
これはあんまりじゃあ、ありませんか・・・・・。

さて。
こんな彼をめぐって対立する妹フェネーナとアビガイッレが
王冠を奪い合う、第2幕。

あまりにも真に迫った女同士のつかみ合いの迫力に、
つい客席から失笑が漏れた、そのあと。
何やら腰のあたりをしきりに気にして触っているマリア・グレギーナ。

「姉さん、勢いあまってぶつけたか・・・?」

と思いきや。
腰から手を離したすきに赤紫の衣装の間に、
何やら細い白っぽい筋が・・・。


「もしや、それってぱんつ?!」

そうです。そうなんです。
暴れすぎて衣装を裂いちゃったらしいのです。
爆弾
さすが姉さん。やってくれました。

本人も気にしてるんでしょうか、
この幕後半には肩掛けを外して腰にまき始めました。
しかしおかげでむき出しになった、二の腕。
その手でガッツポーズなんかされちゃった日には、
もう平伏するしかありません・・・。
猫

マリア・グレギーナ、強しexclamationパンチ

彼女ほどパワフルな人にはこの劇場、
小さすぎるんじゃないでしょうか。

そんなこんなでアビガイッレばかりを見てしまいがちでしたが、
本日の主役は
ナブッコ

レナート・ブルゾンでした。

親日家で知られる彼はなんと、御歳、72歳exclamationぴかぴか(新しい)

さすがに声の衰えは隠せないものの、あの御歳で
世界を飛び回る現役歌手であり続けるパワーもさりながら、
その素晴らしく深〜い音楽に心から感動しましたexclamation×2
まだまだ現役で頑張って欲しい、と心から願っております。
posted by Duo A&K at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ヴェルディ・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする